無意味な芸術か、それとも…

街の広場に奇妙なオブジェが設置された。

ステンレス製の、複雑に絡み合ったチューブ状の構造物だ。

近くに立てられた看板には、「新しい時代の創造性」といった大げさな言葉が並んでいた。

市民の反応は様々だ。

「わけがわからない」 「税金の無駄遣いだ」 といった否定的な声が多い。

中には、「芸術とは、理解できないものだ」と擁護する者もいる。

私も正直、初めて見た時は首を傾げた。

この世界の街には、意味を持たないものが溢れている。

誰が惹かれるか理解できない広告、無駄に装飾された建物そしてこの奇妙なオブジェ。

それらは、ただそこにあるだけだ。

このオブジェが、本当にただの無意味な芸術なのだろうか。

それとも、この世界の住人には当たり前でも、私にはまだ見えていない、深い意味が隠されているのだろうか。

このオブジェを眺めていると、私は自分の存在もまたこの街の無意味なオブジェの一つなのではないかという、奇妙な感覚に襲われる。

私はこの世界に何を伝え、何を記録すればいいのか。

この謎めいたオブジェは、私自身の存在意義を問いかけているようだ。-アダムリード